先生に憧れ、現在は学習塾の講師をしています。

dh:男性 / 40

私が教育者を目指したのは、小学2年生の時の担任の先生が父親代わりをしてくれていたから。諸事情あり父親と一緒に暮らせていなかった私は、肩身が狭い思いをしていた。運動会になると友達には両親が応援に駆け付けるのだが、私には誰もいない、母親は働きに行っており、子供の運動会でも仕事を休むことは出来なかった。
「一緒に弁当を食べるか?」、そう声を掛けてくれたのが担任の先生。当時の先生は独身、そのため、先生の弁当も私の弁当も、友達の弁当と比べるとオカズは少なかったのだが、先生と一緒なら友達からからかわれることはなかった。
先生と一緒ならからかわれないことを知った私は、先生から勉強を教わることが多くなり、成績は常に上位。
先生に将来の夢を聞かれた私は、「先生」と素直に答えることは出来なかったが、教育者になるための進路を選んだ。
私が就活を行ったのは就職氷河期、そのため正規雇用での就職は難しく、私が就けたのは学習塾の講師。
学習塾の講師でも塾生からは「先生」と呼んでもらえる、当初は気恥ずかしかったが、先生と呼ばれることに慣れた。
しかし、私の中で学習塾の講師に就いたことに、わだかまりが今もあり、将来の夢を聞かれたら「学校の先生になること」と答える。
一緒にお弁当を食べてくれた担任の先生は、今もアルバムに写真が残っているが、学習塾の講師を長年していても、受け持った塾生と写真を撮ったことは一度もない。
学習塾では塾生が進学をしたら、講師と塾生の関係は終わってしまう、学校のようにクラス会はない、これからもない。
もし、学校の先生になれたら、生徒と一緒にお弁当を食べたい、一緒に写真も撮りたい、卒業をしても関係を続けたい。

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